スイスのスーパーのお肉では、日本食が作れない!?
日本食でよく使うお肉といえば、鶏モモ、豚バラ、肩ロースなど色々あります。海外でいざ自炊しようとして気が付くのが、日本の薄切り肉や骨なしモモ肉は、多くの国ではメジャーではない!ということ。デパートやスーパーに行っても、パック入り精肉や、お肉屋さんのショーケースに薄切り肉は並んでいません。スイス以外の隣国でも状況は同じ。
ないものは食べないでいいや。と思ってみても、しばらく自炊をしていると、やはり日本食が恋しくなるものです。
「いつも手に入る」という環境がほしい!
海外在住歴が長い方になると、料理研究家のような半プロ(?)の方も増えてきます。笑ってしまうほど本格的で、「鶏モモの骨を取り除く専用のナイフを買った」「ミートスライサーを購入して、塊肉を家でスライスしている」なんて家庭も珍しくありません。
最近はスイスに進出し活躍されている日本企業の方の努力により、鶏モモ肉の骨を取り除く機械TORIDASが導入された大手スーパーでは、骨なし鶏モモ肉を見かける機会も増えてきました。薄切り肉も、日本食材店の冷凍食材として購入することももちろんできます。
ただ、そこまで初期投資をかけたくないという方も多いですよね。旅行で来ている方などは近所のお店で気軽に購入したい!という方もいらっしゃると思います。
そんな方には、対面式のお肉屋さんでお肉の処理をオーダーすることをおすすめします。地元の個人商店に聞いてみるのもよいと思いますし、大手スーパーの大型店舗では対面式のお肉屋さんが併設されているので、そこでお願いしてみましょう!
できれば予約オーダーがおすすめ
お肉の予約オーダーをすると、あとは商品を受け取って会計をするだけなので、ぜひ予約ができたらしてみてください。予約をせずにその場で加工をお願いしてみるのもいいですが、売り場が混雑していると、時間がかかるお願いはつい頼むのが申し訳なくなり、結局お目当てのものが買えなかったということになりがちです。
また、予約することで手に入りやすくなる部位もあるのです。冷凍用にグラムを計り真空パックにしてくれるお店も多く、この制度はとても便利なので、使わない手はありません。
さて、私がスイスで頼む定番のお肉は3種類。スイスでは牛肉が大変高額なので、鶏肉と豚肉の出番が多くなります。
おすすめオーダーは肩ロース・鶏モモ骨なし!
まず、比較的どこのお肉屋さんでも見つかる2種類は、肩ロースと鶏モモでしょう。
ほどよい歯応えと肉の旨味が味わえる肩ロース。こちらは豚の肩肉の塊(Escalope Cou de porc / Schweinshalsplätzli)を、機械で薄くスライスしてもらいます。熟練のお肉屋さんだと、機械ではなく、ナイフで手作業し1.5mmほどに切ってくれることも!
スイスでも豚肩肉は人気なのか、だいたいいつもお店に用意があります。我が家は、これを肉野菜炒めなどに利用するのがメイン。脂がきれいに入ったものは、すこし厚切りにして豚カツにするのもいいですね。
そして鶏モモ肉(Cuisses de poulet / Pouletschenkel)。スイスでは鶏の骨なしといえばムネ肉(Poitrine de poulet / Pouletbrust)がメジャーで、鶏モモ肉は大抵の場合、骨付きです。この骨をとってもらう作業は手作業になり、少し時間がかかるので、数が多いならあらかじめオーダーしておくのがおすすめ。こちらは親子丼、唐揚げ、チキンステーキなど、色々使えますね。スーパーによっては小さめサイズのもも肉は、オーダーしなくても店頭に並んでいる場合もあるようです。
スイスではブロイラーが禁止されており、スイス産チキンといえばすべて地鶏。とても美味しいのでぜひ食べてみてください。ただ、こちらでは皮についた毛とスジの処理が甘い場合が多いので、調理前に残った毛を抜き、白くて硬いスジを処理するとよいでしょう。
ちなみに、チキンの骨でスープを作りたい方は、お肉屋さんに頼むと、取り除いた骨がいただけることがあります。
豚バラ肉はちょっとハードルが高め?
問題なのが、我が家では最頻出の豚バラ。
この肉の部位は、スイスで日常的に料理に生の状態から使われることが少ないのか、常にお肉屋さんにおいてあるものではないようです。あっても塊肉の状態で骨と一緒になっていることが多く、骨をスライスしたら機械が痛むため、薄切り加工が頼めないことも。骨なしの塊肉が運良く見つかったときは、ぜひ冷凍用にもまとめて頼んでおくとよいでしょう。
入手が難しい理由として、この部位はスイスをはじめヨーロッパ諸国ではベーコンに加工して食べるから、という背景があります。と殺してすぐにベーコンにするための加工処理を始めるので、生の状態でお肉屋さんに並ぶのはレアなのです。ですので、確実に手に入れる簡単な方法は、前もってお肉屋さんに予約しておくこと。そうすれば加工前の生肉を確保しておいていただけます。
日本の豚バラスライスの部位は、フランス語では脂を意味する「ラード(Lard)」と呼ばれることもあります。豚ムネ肉(Poitrine de cochon / Schweinebrust)の部分なのですが、「ベーコンに使う部位」と説明すると、大抵の場合はわかっていただけます。「骨なし」「生で」と言わないと、ベーコンの塊やスペアリブ用のお肉をだされてしまうこともあるので、ちょっと会話力が必要かもしれません。言葉に不安がある方は、豚バラ肉の写真を携帯に準備しておくのもよいですね。
豚バラは、野菜の肉巻き、肉じゃが、など、万能に使えるうれしい食材。一度お願いしたお肉屋さんなら2回目も頼みやすいですので、ぜひ一度チャレンジしてみてください。
「スイスあるある」、お肉屋さんのハム
また、昔ながらの小さなお肉屋さんでの「スイスあるある」は、子連れでいくとハムを食べさせてくれること!
お肉屋さんは、よく子どもに「ハムほしい?」と聞いてくれるので、子どもが「ほしいです。ありがとうございます」と答えると、ショーケースの中のハムの塊から1切れ、切ってくださるお店が多いように感じます。なんだかほっこりする慣習ですね。
これを楽しみにしている子は、スーパーのお肉屋さんよりも、小さなお肉屋さんに行きたがるのだとか。お肉屋さんに入ると、いつハムをもらえるかワクワクしてニコニコする子どもがいるので、ぜひチラっとみてみてくださいね。
ちょっと高め!スイスでお肉を買うとこんな値段
ちなみに、お肉の処理代金は、支払う必要があるお店もあれば、無料でサービスしてくれるお店もあります。
我が家では2kgちょっとの鶏モモ、肩ロースが600gと豚バラが600gで、82フランでした。日本のように100g100円台のお肉はなかなか見つけるのが難しいスイスとしては、妥当な値段といえます。お肉は高めですが、スイス産のお肉の品質には自信をもっていらっしゃる方がおおく、国産のお肉は根強い人気です。
パッケージ入りの製品を買うだけなのは楽ですが、頑張ってコミュニケーションをとって、ほしいものを用意していただく、という買い物も思い出になり楽しいものです。ぜひ怖がらずにチャレンジしてみてくださいね。