パン・ペルデュ =「失われたパン」とは?
トーストやバゲットを卵と牛乳の混合液につけてたっぷりのバターで焼くフレンチトースト。日本ではフレンチトースト専門店も人気で、オシャレなイメージのある料理です。
ここスイスのフランス語圏では「パン・ペルデュ(Pain perdu)」と呼ばれており、残ったパンのリメイク料理としておなじみ。「パン・ペルデュ」とはフランス語で「失われたパン」、つまり、古くなって食べられなくなったパンを意味しています。「黄金(色)のパン」を意味する「パン・ドレ(Pain doré)」という名前で呼ぶこともあります。
乾燥するヨーロッパでは、パンはすぐ硬くなります
ふんわり柔らかなパンが主流の日本と異なり、スイスのパンは中はふわっとしていても、外側はパリッと焼かれてしっかり噛みごたえのあるものが多いです。乾燥しがちな気候も手伝ってか、パンは買って2日も経つとまるで石のように硬くなってしまいます。そんな硬くなってしまったパンを、どうにかおいしく食べようと生まれたレシピがパン・ペルデュ。シンプルなバゲットはもちろん、くるみパン、とうもろこしパン、黒パン、などなど、どんなパンでも使えます。
硬くなったパンの再利用としては、他にもオーブンで香ばしく焼いてクルトンにしたり、細かく砕いてパン粉にしたりもできるのですが、子どもに喜ばれるのはなんといってもこのパン・ペルデュでしょう。
スイス流の作り方・食べ方
作り方は日本でフレンチトーストを作るのと変わりませんが、スイスでは一般的にあまり長い時間卵液にパンを浸してはおかないようです。わたしは個人的には牛乳多めの卵液をパンの中心までしっかり染み込ませて、しっとりした仕上がりにするのが好きなのですが、こちらの家族には食感がイマイチだと言われ不評でした。
スイスのパンは日数が経って外側はガリガリで食べられなくなっていても、切ってみると中はまだ柔らかかったりするので、パン・ペルデュにする時も卵液はパンの表面にだけつけて、中は元のままの状態を好む人が多いのかもしれません。
我が家ではパンを浸す卵液には砂糖を加えず、フライパンやオーブンで焼いた後に、砂糖・シナモン・はちみつといった甘い調味料をかけて食べることもあれば、チーズやサラダ、ハムなどを添えてボリュームある食事として食べる事もあります。おふくろの味を聞かれて思い浮かべるような身近な料理なので、シンプルながら人によって味や調理法は様々です。
アレンジ次第でデザートにも食事にもできるパン・ペルデュは、材料も少なく調理も簡単なので、忙しい日の朝食やランチ、軽食にもってこいです。そういえば台所に硬くなってしまったパンがあったような…そんな方は、ぜひパン・ペルデュにして食べてみてくださいね。