Art on Ice 2017 サラ・マイヤー元選手&ステファン・ランビエール元選手のインタビュー

  今回は、スイス情報.comのスタッフがスイス出身の大人気スケーター2人に独占インタビューを行いました。1人は、アート・オン・アイス(Art on Ice、以下AOI)に15回目の出演を果たしたトップスケーター、ステファン・ランビエール元選手。そして、2015年に引退したもののランビエール元選手やAOIの熱いリクエストに応えて氷上にカムバックした、サラ・マイヤー元選手です。

  このインタビューでは、特別に”ファン目線”でおうかがいしているので、普段はあまり聞けない日常生活や好みについて知ることができます。

健康管理と食事内容について

フィギュアスケートをする上で美しい体型も芸術の一部だと思いますが、お二人が今まで体型を維持できている秘訣は何ですか?

サラ: うーん、秘訣はないと思う。運動したりして体調を管理することが一番かな。私たちはいろいろな経験をしているから、体がどういう状態でどう機能するかとか、何を食べなくちゃいけないかとか、よく分かっていると思う。きっと、秘訣じゃなくて、たくさん練習して、体にいいものを食べて、よく眠るっていう本当に基本的なことかな。

 秘訣はないっていうのは、私がまだ見つけてないだけかもしれないけど(笑) あとは根気で、基本的なことをきちんとやるからこそ、体型を維持できるのかも。ほら、私はスケートをやめて、そんなにトレーニングしてなかったから。でも、今回はちゃんと体調管理をしたから、また体を絞れたし。時間はちょっとかかるけどね。

ステファン:僕の場合、年を重ねるともちろん、体にとっていろいろ大変なこともあるから、大きなツアーがあるといつも専属のフィジオテラピスト(理学療法士)に相談してるよ。そのおかげで、僕の体は前よりもっと強く健康になってる。大切なのは、健康な状態をキープして、怪我なんかの問題にも向き合って、プロとして長いあいだ活躍できることかな。

 フィギュアスケートはスポーツのひとつで、競技の後もスケートを続ける機会があると思う。だから、フィギュアスケートを続けるためにも、サラが言ったように、体調管理をしつづけなくちゃいけなくて、練習が大切なんだよね。たくさん練習しなくてもいいけど、定期的に練習しなくちゃいけないと思う。もちろん、健康にいいものを食べて、よく寝て、健康に気をつけること、これが一番大切だね。

毎日、絶対に欠かせない飲み物や食べ物がありますか?

サラ:私、コーヒーをよく飲む(笑) でも、うーん、特にないかな、私はなんでも食べるし。もちろん好物はあるけど、食べ物のことだったら私は本当に簡単で、なんでも食べるから。まあでも、コーヒーを飲むときはすごく幸せ(笑)

ステファン:僕は、だいたいレモン1個を絞って、熱いお湯に入れて飲むかな。いつもこれで1日が始まるよ。あと、プロテインが大好きだから、よく摂るね。

日本に行ったことがあるそうですが、どんな日本料理を食べましたか? 何が好きですか?

サラ: お寿司が大好き!お寿司だったら毎日食べられる(笑) スイスのお寿司より、日本の方が絶対に美味しいと思うけど。

ステファン: もちろん僕もお寿司が大好きだよ。あと、スキヤキも大好き。すごくいいビーフのスキヤキ・・・なんだっけ? 和牛? そう! そう!(笑)

サラ: あと、日本の特別なオムレツの名前って何だっけ? 卵焼き? そう、それも!(笑)

ランビエールさんはピラティスを継続して行っていると聞きましたが、お二人が毎日しているエクササイズは何ですか?

サラ: 私は本当にたくさんエクササイズしてる! ほら、私は腰にいろんな故障があるから、いろんなエクササイズをしてるの。エクササイズをすると腰や背中にもいいし、柔軟になると思う。あとはストレッチを合わせたヨガも。

 足のためにもたくさんエクササイズしていて、痛みがある部分があるから、ボールを当てて転がしてみたり、マッサージしてみたり、ブラックロールを当ててみたり。あと、ウォーミングアップも大切だから、エクササイズの前には必ずウォーミングアップもしてるかな。

ステファン: 僕も同じで、スケーターって腰をよく使うから、腰を中心によくウォームアップすることが大切だと思う。あと、いくつか体幹を鍛えるエクササイズをしてるよ。こういうエクササイズは体調を整えて、筋肉に意識を集中させるのにいいんじゃないかな。

 あとは、自分自身に意識を向けて、集中すること。体のウォーミングアップはメンタルのウォーミングアップになるんだよ。うん、メンタルにいいと思う。

パフォーマンス(演技)について

日本でフィギュアスケーターを目指している子供たちにアドバイスをお願いします。どうしたらお二人のような表現力を身につけられるようになりますか?

ステファン: 大切なのは、いろいろなことに心を開いて、興味を持つことだと思う。人生で成功していくために本当に大切なのは、いろいろなことを学んで、いろいろなものを食べて、いろいろな映画を見て、いろいろな芸術に触れていくこと。それはダンスかもしれないし、音楽でもいいし、彫刻でもいいし、料理だっていいと思うよ。

 僕にとって料理はアート。もちろんレシピがいるけど、ちょっと想像力を働かせてレシピを変えてみたり、準備するときに何かをちょっと変えてみたりするよね。だから、想像力を思い切り働かせて、いろいろな経験をしたら、もっとクリエイティブな人になれると思う。

 僕の弟子のデニスがまさにそう。彼は絵を描くことが大好きで、日本の文化に興味があるから日本庭園をよく描くんだけど、それは本当に綺麗なんだよ。最初は、頭の中にイメージはあったみたいだけど、あんまり頑張って描いてなくて。

 でも、何回か頑張って試しているうちに、彼は今、もっと、もっと、もっと上手になって、彼は今、本当に、本当に、本当にクリエイティブになってる。だから、まずは自分を信じて、すぐに成功しなくてもいいから、何かに挑戦すること、そしてそれを続けることだと思う。

観客を第一に考えているお二人ですが、観客がお二人に求めている(いた)ものは何だと思いますか?

サラ: むずかしいなぁ(笑) きっと観客はいつも何か新しいものを期待してると思う。それか、私が毎回トライしようとしている新しい何か。たとえば、プログラムとか、ドレスとか、アイディアとか。

 もちろん似たようなものではあるけど、観客はなにか新しいものを見てびっくりしたいんだと思う。ステファン独自の動きやスピンもそう。彼らは、そういうスピンやステップを期待してると思うな。

ステファン: 僕は、観客は個性とか人としての魅力を見たいと思っていると思うよ。ときどき感じるんだけどね、僕たちはリンクの上で、僕たちの気持ちや感じ、匂いなんかを観客に届けるんだって。

 僕たちがスケートをするとき、キャンドルに火をつけるんだよね、いい香りのするキャンドルに。だから、僕たち自身がいい香りのするキャンドルで、その香りを全体に行き渡らせて、観客に届けることかな。

今後について

今年はどんなことに挑戦したいですか?

サラ: 今晩のショーが私にとって、今年の大きな挑戦だった…。

ううん、挑戦だから(笑) 私はスポーツジャーナリストとしても働いているから、それもこなしていかなくちゃいけなくて、すごい挑戦だったの。もちろん、ステファンはもっともっとやらなくちゃいけないこととか、挑戦することがあったと思うけど。でも、私は今、完全にこのショーに集中して取り組んでいるから、この先、今年の目標とか挑戦は考えてないし、とにかくこのショーに専念してる。

ステファン: 次の目標は「アイス・レジェンズ」じゃないの? そうだよ、次は「アイス・レジェンズ」! そうだよ!(笑)

スイス情報.comを見ている日本のファンに一言お願いします!

サラ: 私がいつも本当にびっくりして感動してるのは、日本のファンの人たちの優しさとか、思いやり。ショーを見に来てくれて。これって普通のことだとは思えなくて。

 ファン一人一人が私たちを見てくれて、スケートを見てくれて、ショーを盛り上げてくれて。こういうファンの優しさとか温かさが本当に大好き。だから、私たちはスケートを続けていけるんだし、ファンからなにかをもらってると思う。

ステファン: 僕もファンのみんなに本当に感謝してるよ。僕は日本にいく度に感じるんだけど、本当に居心地がよくて、まるで故郷に帰ったみたいで。それはひとえに、ファンのみんなが温かくて優しいからなんだと思う。この機会に日本のファンのみんなに、ぜひお礼が言いたいな。

 「クリスマス・オン・アイス」で日本に行ったとき、最高のクリスマスを過ごせたって伝えたい。一日もはやく日本に戻って、観客のみなさんの前でスケートするのが待ちきれないよ。あと、弟子のデニスからもお礼を言いたいな。彼は若くていろいろなサポートがいるから、日本のファンに応援してもらって、本当に感謝してる。ありがとう!

氷上の芸術「アート・オン・アイス」とは?

取材: Yoriko Hess, Yumiko Maejima
撮影: Yuko Kamata
編集: Yoriko Hess,Yuko Kamata

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