冬の風物詩、スイスが誇るクリスマスマーケット5選

 国内外から多くの人々が訪れるスイスのクリスマスマーケット。雪が積もった山々や光り輝く湖、歴史的な美しい街並みが堪能できるロケーションに加え、4つの語圏では各地域によってそれぞれの文化や言葉、特産品、人々の生活や様子などが一度に楽しめる一押しのイベントです。

 クリスマスマーケットはフランス語でマルシェ・ド・ノエル(Marché de Noël)、ドイツ語でヴァイナハツマルクト(Weihnachtsmarkt)と呼ばれる、冬の風物詩の一つです。

 屋台は、フランス語でシャレー(Chalet)、ドイツ語でヒュッテ(Hütte)と呼ばれ、ともに山小屋という意味です。その屋台に共通して並ぶのは、繊細な細工が施されたガラスのオーナメント、木製のランプや食器、手使い人形、ハンドメイドの小物やアクセサリー、石鹸、キャンドル、スパイスや、スイス名物のフォンデュ、ラクレット、ホットワイン、レプクーヘン(ジンジャーブレッド)など。これらの品々に各地方の特産品と、それぞれのアイディアや色使いなどが加わるので、何度訪れても飽きることがありません。

 今回はフランス語圏から2ヶ所、ドイツ語圏から3ヶ所ご紹介します。

ローザンヌ(フランス語圏)

ボ・ノエル(Bô Noël)

 特徴は、街に点在するシャレーと、光によってダイナミックかつ優美に演出された街です。

 一番賑やかなのは、27軒のシャレーが並ぶサン・フランソワ広場(Place Saint-François)。あちこちからホットワイン「ヴァン・ショゥ(Vin Chaud)」の香りが漂ってきます。ペピネ通り(Rue Pépinet) の約10軒には地元の職人たちの個性的な作品が勢揃い。グリューモスト(Glühmost)という白ワインとアップルサイダーにスパイスを加えた飲み物が大人気です。

 目玉の一つは、同時期に開催されている「光の祭典(Le Festival Lausanne Lumières)」。大聖堂や高くそびえるクリスマスツリー、家の古い壁などが落ち着きのある光で照らされ、街全体が芸術品のように思えてきます。

モントルー (フランス語圏)

マルシェ・ド・ノエル・ド・モントルー (Marché de Noël de Montreux)

 毎年25万人が訪れるフランス語圏で最大のクリスマスマーケット。レマン湖畔に並ぶ約150軒のシャレーと揺れる湖面、空、雪山が織りなす景色はスイスならでは。特に夕方から夜にかけての夜景は圧巻です。

 屋内市場「マルシェ・クヴェール(Marché Couvert)」では大鍋料理が人気です。ジャガイモやベーコンなどを炒めたタルティフレット(Tartiflette)はこの地方の冬の定番。リンゴのサイダーとリンゴのブランデーの飲み物「ヴァイキングの飲み薬(Potion des Vikings)」で温まったら、特別プログラム「サンタの空飛ぶソリ(Le Traîneau volant du Père Noël)がオススメです。光るサンタがソリに乗ってレマン湖の上を飛ぶ姿は、寒さを忘れてワクワクしてしまいます。

チューリッヒ(ドイツ語圏) 

チューリッヒ中央駅構内クリストキンドリ・マルクト(Christkindli Markt)

 ヨーロッパ最大の規模を誇る屋内型クリスマスマーケットで、見所は約6000個のスワロフスキークリスタルで飾られた、高さ15mの白銀に輝くクリスマスツリー。

 ホットワインはチューリッヒの絵柄入りマグカップでどうぞ。2フランのデポジットを払い、飲み終わったらカップと引き換えに2フランが返金される仕組みですが、そのまま持ち帰ることもできます。

 約150軒並ぶヒュッテに訪れる観光客は46万人以上。小さなメリーゴーランドもあるので、夜になっても子供たちの笑い声が聞こえてくるとても賑やかな所です。

 今年は新しく2階建てのヒュッテが登場し、2階のテラスからクリスマスマーケット全体が見渡せるようになりました。そこから見るマーケットは、まるで小さな村のよう。スワロフスキークリスタルの輝きも違った角度から楽しめます。

ニーダードルフ通り(Niederdorf Strasse)のヴァイアーナハツマルクト・ドルフリ (Weihnachtsmarkt Dörfli)

 チューリッヒ最古のクリスマスマーケットが開催されるのは、旧市街を抜ける、幅が狭めの和やかな小道。グロスミュンスター大聖堂からチューリッヒ中央駅周辺まで続く道はホットワインの甘い香りが漂い、小さな電球をちりばめたようなオレンジ色のイルミネーションがクリスマスムードを盛り上げます。

 両脇に並ぶ建物の窓や壁、バルコニーに飾られたサンタクロースやプレゼントなどのデコレーションも心温まる演出です。曲がり角や噴水横に置かれたクリスマスツリーも小さいオレンジのライトをちりばめた落ち着いたスタイル。路地をのぞくと、光を抑えたシンプルで温かいイルミネーションが街を照らしています。

 夜はライトアップされた大聖堂と、チューリッヒ中央駅周辺からチューリッヒ湖の間を流れるリマト川の眺めも美しいのでお散歩にもぴったりです。

ベルビュー (Bellevue)のツールヒャー・ヴィーナハツドルフ・アム・ベルビュー(Zürcher Wienachtsdorf am Bellevue)

 オペラハウスとチューリッヒ湖が望める広場にあるクリスマスマーケット。巨大クリスマスツリーとアイススケートリンクが美しさに華を添えています。

 100軒以上並ぶヒュッテで楽しめるのは主にフードで、フォンデュやラクレットを始め定評のある世界各国の料理が大集合。スイス料理では釜で焼いた熱々のフラムクーヘン(薄いピザ)、リンゴのムースやモストブレックリ(干し肉)入りのレシュティ(ハッシュドポテト)もおすすめです。ここではなんと日本食のヒュッテがあり、スイス人も揚げたての唐揚げや肉まんを頬張ります。

 チューリッヒ名産、はちみつ味の薄いクッキーに景色などがエンボスされた焼き菓子「ティルゲル(Tirggel)」はお土産にも最適。

 200以上の出店者が毎週交替で登場するので、何度行っても発見がありそうです。

ルツェルン (ドイツ語圏)

ルツェルナー・ヴィエナハツメルト(Lozärner Wiehnachtsmärt)

 スイスで最も美しいゴシック式教会として名高いフランシスコ教会(Franziskaner Kirche)の周辺に約65軒のヒュッテが並びます。

 名物の一つはホットワイン用マグカップ。デポジットの5フランを払い、後でカップと交換に返金されるのですが、2010年から毎年デザインを変えているため、記念に持ち帰るコレクターも大勢いるそうです。

 行きのルートでオススメなのは、駅前を流れるロイス川に沿って歩くコース。カペル橋を右手に眺めながら進んでいくと、大きな数字がいくつも書かれた建物が対岸に見えてきます。建物自体が12月1日から24日までを数えるアドベントカレンダーになっていて、その日付に合わせて窓が一つずつ開かれます。昼はカラフルなペイントが可愛らしく、夜はライトアップと川面に映えるライトが幻想的です。

ベルン (ドイツ語圏)

ヴァイセンハウスプラッツ(Waisenhausplatz)

 ヒュッテの2階で熱々フォンデュはいかがですか?マーケット全体を見渡せるテーブルスタンドにフォンデュ用グリルが埋め込まれていているので、外でも熱々のチーズが楽しめます。

 木の製品が多く、ドールハウス用の人形や家具、スプーンやボウルといった食器や調理器具、木のスライスに絵柄をくり抜いた置物、幹をそのまま使ったキャンドルスタンドなど、どれもスイスらしいため、思わずプレゼントしたくなるほど。スイスの切り絵「シェーレシュニッテ(Schereschnitte)のような木の切り絵は軽いのでお土産にも最適。買った商品は、10種類のラッピングペーパーを備えた「パックリスタンド(Päckli-Stand)」で無料でラッピングしてもらえます。

 可愛い絵柄が描かれた巨大レプクーヘンのお店は、毎週火曜日に出店します。

ミュンスタープラッツ (Münsterplatz)

 ヴァイセンハウスプラッツから徒歩7分くらいの所にある、小さくてアットホームなクリスマスマーケット。木肌の美しいフルートを始めとした楽器や、鮮やかな色のドライフラワーを使ったリースなど手の込んだ製品が並びます。

 ここでは記念に「手作りキャンドル体験」はいかがでしょうか?大きな鍋で熱してある黄色いミツロウに、軸となる芯を漬けては乾かしを繰り返して、長い1本のロウソクを作ります。目安としては、高さ約20cm、太さ約2cmのロウソクを作るのに30分(5.40フラン)、太さ約7cmのものだと5〜6時間(75フラン)で出来るそうです。

 夜になると大聖堂(ミュンスター)がライトアップされ、歴史を感じさせるベルンの街が一層厳かになります。装飾の美しい噴水や時計塔と合わせて、美しいベルンの夜景も見所の一つです。

 まとめ

 スイスは小国ですが、それぞれの土地で特徴のあるクリスマスマーケットが開催されます。クリスマスマーケット巡りを中心に、スイス観光を計画するのも楽しいでしょう。ぜひ、こちらの記事を参考にしてみてくださいね。

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