スイスの春を告げる旬野菜、アスパラガス
「衣替えは5月まで待て」と言われるくらい、突然気温が下がったり、年によっては雪が降ったりもするスイスの4月。ですが今年は天気が良く暖かい日が続いていて、例年よりも早く春めいた気候になってきました。
新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐため、外出ができずせっかくの陽気を存分に楽しめないのが残念ですが、せめて食卓だけでも春らしくしたい…ということで、春野菜の代表格アスパラガス(Asperges)を買ってきました。
主流は、巨大なホワイトアスパラガス
アスパラガスと聞いてまず頭に浮かぶのはグリーンアスパラガス(Asperges vertes)、そしてグリーンアスパラガスに日光を当てずに栽培するホワイトアスパラガス(Asperges blanches)の2種類があります。スイスで売られているものは、グリーン、ホワイト共に、写真のように大人の親指ほどの太さがある巨大なものが多いです。
スイスではホワイトアスパラガスの方が人気のようで、特にこの時期にはしっかり太ったホワイトアスパラガスの束が、スーパーや市場の売り場いっぱいに並べられています。
値段は日によって変わったり、品種や産地によってもかなり差があるのですが、グリーンアスパラガスが1kgあたり7~10フランくらい、ホワイトアスパラガスの方が少し高めで1kgあたり10~15フランほどです。1kgだとだいたい15本前後になります。
定番メニュー!まるごとアスパラガスのオランデーズソース掛け
日本でもよく見かけるような細いタイプのグリーンアスパラガスももちろんお店に並んでいるのですが、スイスの人たちはこの巨大なアスパラガスをまるごと茹でて、オランデーズソース(Sauce hollandaise)を掛けて食べるのが大好きなんです。
オランデーズソースというのはフランス料理によく登場するソースの1つで、卵黄にバターとレモン汁を加えて作るクリーミーなソース。日本でも人気のおしゃれ朝食メニュー、エッグベネディクト(Eggs Benedict / Œufs Bénédicte)に使われているあのソースがそうです。
むいた皮、茹で汁も再利用
アスパラガス自体の調理はとても簡単で、まず下準備として、ピーラーなどで穂先より下の皮を剥いておきます。グリーンアスパラガスの方は柔らかそうならそのままでも食べられるのですが、ホワイトアスパラガスの皮はかなり硬いのでしっかりと剥いておいた方が良いです。
あとは鍋いっぱいの水にティースプーン1杯分の塩を加えて沸騰させ、アスパラガスを入れて2〜30分茹でるだけ。力を入れなくてもアスパラガスにナイフがすっと入るようになったら出来上がり。キッチンペーパーなどでしっかり水気をとってから、お皿に盛り付けてください。
そして、むいた皮や茹で汁にもアスパラガスの栄養やうまみがたくさん残っています。捨てずにとっておいて出汁をとるのに使ったり、茹で汁も灰汁を取ってスープにしたりと、まさに捨てるところなく、まるごとおいしく頂けます。
料理初心者には厳しいオランデーズソース作り…でもご心配なく!
オランデーズソースも材料や基本のレシピ自体はシンプルで、卵黄と少量の水を湯煎にかけ、クリーム状になるまでよくかき混ぜながらバターとレモン汁を加えるだけ、なのですが…
はい、失敗です!
ほんの数秒前まで良い感じにできていたのに、卵黄が加熱されすぎてしまいました。オランデーズソースを作る上で難しいのがこの温度調節。温度が上がりすぎないように気をつけながら常に混ぜ続けておかなければいけないんです。
このような失敗は初めてではないので、こんなこともあろうかと市販のソースを買っておきました。この時期、スーパーのアスパラガス売り場には写真のような温めるだけで良いできあいのソースが一緒に並んでいます。
マヨネーズやマスタードでおなじみの食品メーカー・トミー(Thomy)のソースは3.50フラン(250ml)、様々な種類の即席ソースやインスタントスープを展開している「ボンシェフ(Bon Chef)」のものが2.90フラン(250ml)。どちらも大手スーパーのミグロ(Migros)で購入しました。
アスパラガス以外にもエッグベネディクトはもちろん、鶏料理や魚料理など、いろいろなレシピに使うことができてとても便利です。
この時期だけの特別な味
スイスをはじめヨーロッパの人たちにとってアスパラガスは、長く厳しい冬が終わり春の訪れを感じさせる象徴のような食べ物で、日本人にとってのタケノコや菜の花のような存在です。
スイスでのアスパラガスの旬は日本と同じく4月から6月にかけて。この時期は特に味も濃く、栄養もたっぷり。アスパラガスは足が早いので、ほんの数日で悪くなってしまいます。旬の時期を過ぎると新鮮な生のホワイトアスパラガスはほとんど手に入らなくなってしまうので、この時期だけの特別な味といえます。
今後、春にスイスを訪れることがあれば、ぜひオランデーズソースと一緒に季節の味覚をお楽しみください。
<購入先>
Supermarché Migros – Préverenges
Chemin du Vuasset 2, 1028 Préverenges
+41 (0) 58 573 56 50
https://www.migros.ch/ (仏・独・伊)
** ご紹介した商品の価格は2020年4月時点のものです。販売時期や販売店舗によって異なる価格・内容・パッケージになる場合や取扱い終了となる場合もあります。