秋の風物詩、多種多様なかぼちゃ
夏が終わりにさしかかる8月後半から、スイスでは種類豊富なかぼちゃ達が市場やスーパーに並ぶようになります。
ひょうたん型の「バターナッツ・スクワッシュ(Courge butternut)」や、鮮やかなオレンジ色が美しい「マンダリン(Mandarine)」、栗のような形がかわいらしい「ポティマロン(Potimarron)」など、日本ではあまり見慣れていなかった、様々な色形をしたかぼちゃがあります。そして実は近年、スイスはもちろんヨーロッパ各国で、日本でおなじみの栗かぼちゃが人気になっています。
かぼちゃは西洋と東洋を行き来しながら進化している!?
「えびすかぼちゃ」に代表される栗かぼちゃは、バターカップ・スクワッシュ(Buttercup squash)という西洋かぼちゃが日本で品種改良されて作られた品種群。さきほど挙げた「ポティマロン」というかぼちゃの品種は日本から持ち込まれた栗かぼちゃが元になっていて、フランスなどでは第二次世界大戦後から少しずつ輸入されていたようです。
90年代半ばのドイツに持ち込まれた栗かぼちゃが「Hokkaido」という名前で人気を博し、一気にヨーロッパ中へとその人気が広がっていきました。「Hokkaido」は正確には北海道の品種ではなく、加賀野菜の「打木赤皮甘栗かぼちゃ(うつぎあかがわあまぐりかぼちゃ)」という品種で、ポティマロンと同じく、名前のとおり皮が赤(オレンジ)色で栗のような形をしたかぼちゃです。「打木(うつぎ)」が転じて「Uchiki」「Hokkaido Uchiki」などの名前で呼ばれることもあります。
ホクホクした食感がヨーロッパ人にも定着
栗かぼちゃ特有の強い甘みとホクホクした食感がこちらの人たちの心を掴み、日本で主流の「えびすかぼちゃ」をはじめ、「打木赤皮甘栗かぼちゃ」以外の栗かぼちゃも流通するようになったのですが、皮が黒(緑)色のかぼちゃも「Hokkaido」「Green Hokkaido」などと呼ばれていました。
スイスのフランス語圏では「打木赤皮甘栗かぼちゃ」のようにオレンジ色の栗かぼちゃは、たいていフランス名で「ポティマロン」と呼ばれているので、こちらで「Hokkaido」といえば「えびすかぼちゃ」を思い浮かべる方が多いかもしれません。
最近(*2019年現在)では栗かぼちゃ全般を総称して「Kabocha」と表記されることが多くなりました。日本で親しまれている食材が、ここスイスでも日本名で浸透しているのがとても嬉しいですね。
以前はかぼちゃマーケットなどでないと手に入れるのが難しかったのですが、ここ数年で一気に一般のスーパーでもよく見かけるようになり、小振りのものが多いですが値段も他の品種と変わりません。大手スーパーのコープ(Coop)では、種類を問わず全てのかぼちゃが1kgあたり3.95フランとなっていました。
チューリッヒ近郊ならユッカーファームへ
かぼちゃマーケットといえば規模が大きなチューリッヒ(Zürich)の「ユッカーファーム(Jucker farm)」の展示会が有名ですが、それ以外にもスイス各地で秋になるとマーケット・マルシェが開催されていて、食用だけでなく飾り付け用の食べられないかぼちゃも多数販売されています。時期はだいたい8月末から11月上旬にかけて。この時期には個人の農家が期間限定で露店を出したり無人販売所を設置したりもしています。
お住まいの近くでイベント等があれば、ぜひ出かけてみてはいかがでしょうか。日本の栗かぼちゃはもちろん、いままで見たことのないような変わった形のかぼちゃを発見できるかもしれません。
<購入先>
Coop Morges Charpentiers
Rue des Fossés 4, 1110 Morges
+41 (0)21 804 6740
https://www.coop.ch (仏・独・伊・英)
<参考サイト>
ユッカーファーム(Jucker farm)
https://www.juckerfarm.ch (独)
** 購入した商品の価格は2019年10月時点のものです。販売時期や販売店によって異なる価格、または販売終了となっている場合もありますので、予めご了承ください。