スイスの「直接民主制」は日本人でも参加可能!
スイスは直接民主制のシステムを取ることで知られています。たとえば同じコミューンに5年間住むことで、スイス国籍がない外国人でも、地元に関する案件には直接選挙することができるのをご存知でしょうか?
日本人のように外国人の場合でも、同じコミューンに5年住んでいると、移民局からコミューンにお知らせが届くようです。これで、日本人でも投票できるのだそう。
人口2千人ほどの村に住む個人の体験談ですが、それを今回皆さんにシェアしたいと思います。
自分の住む村で、住民が無駄な予算の使い道を拒否できる!
この投票にかかわる討議内容は、事前に村の新聞に告知があります。討議日程が発表されると、5年以上住んでいる住民は誰でも参加可能で、直接質問・投票する機会が与えられます。討議及び投票は夜7時から開始されるため、昼間仕事をする人も参加しやすくなっています。
この日の案件は、この3つの是非を問うものでした。
①村のスキー場管理に際し、次5年間、年間250,000フランの予算を割り当てる
②村営プール・体育館の建物のボイラーの老朽化に伴う修復を行い、同時にソーラーパネルの設置に70万フランを割り当てる
③村の中心部で学校・レストラン・商店がある区画を時速30キロ制限区間に変更し、それに伴う道路工事などの費用250万フランを計上する
投票は原始的で公平な挙手方式
投票日はこれらの議題に沿って、村議の説明・質疑応答があり、投票は挙手で行われました。圧倒多数ではない場合には、席の区画ごとに挙手数が数えられて集計され、可決・否決がすぐに発表されます。
ちなみにこの日の参加者は240名ほどなので人口の一割ほどが参加したことになりますが、それでも村のホールは満員状態でした。入りきれない場合には、映像と音声が外で聞こえるようになっています。
さて結果というと、圧倒的多数で①と②は可決。③は否決の結果となりました。終了は夜11時近くとなりましたが、自分の投票したい案件が終わったり、帰宅を急ぐ人は途中退席しても大丈夫です。
終わったあとは、なんだかいい気持ちに
討議内容は生活にとても身近な問題で説明もわかりやすく、自分の住む村で自分の払う税金がどのように使われるのか、決定は自分たちにあるのだということを強く実感でき、あたたかい気持ちで帰宅できました。
また、後日、質疑応答があった場合にはその内容も含め、議事録が地元紙に掲載されるので、その内容は欠席した住民も知ることができます。不満がある場合でも、皆の前で直接発言、問題提起をすることが可能なのです。小さな案件でも国民が直接関わり、決定する力があるのは素晴らしいですね。