盗まれたのは絶滅危惧種の羊

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 スイスの草原でよく見かける動物と言えば、牛と羊。中でも羊はその歴史は古く、生息する環境に合わせて生態が発展し、数多くの品種が存在します。スイスにも固有の珍しい種類の羊がいます。

 ヴァレー(Valais)州ザース谷(Saastal)発祥の「ザーサー・ムッテ(Saaser Mutte)」は、現在は600頭しか存在しない絶滅を危惧されている羊です。イタリア由来の羊ですが、その地理的な条件から他の種と交わることがほとんどなかったため、一般的な羊とは特徴が大きく異なります。

 耳は長く垂れ下がり、鼻は湾曲し、一目で他の羊とは違うことがわかります。貴重な羊ですが、今月10日にゾロトゥルン(Solothurn)州グルデンタル(Guldenthal)の農場から7頭が一斉に姿を消しました。いなくなった状況から羊は盗まれたと、州警察は発表しています。

 羊を飼っていたローランド・ツヴァイフェル(Roland Zweifel)氏とエスター・ミュラー(Esther Müller)さんによると、いなくなった7頭のうちの6頭はメスで、6頭とも妊娠していました。「2~3週間後には赤ちゃんが生まれる予定だったのにとても悲しい。」とツヴァイフェル氏は話します。

 実は2014年にもヴァレー州で103頭のザーサー・ムッテが盗まれ、そのまま見つかることはありませんでした。この事件を機に、絶滅の危機にある家畜や農作物を保護する団体「プロ・スペーツィエ・ラーラ(ProSpecieRara)」が繁殖を呼びかけ、今回羊を盗まれてしまったツヴァイフェル氏とミュラーさんはこの呼びかけに応じ、4頭のザーサー・ムッテを飼い始めたと言います。

 犯人は珍しい羊と知って盗んだのかわかりませんが、赤ちゃんが生まれるまでに何とか見つかることを願います。


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