ビオ(オーガニック)の世界的ブームとスイスのビオ事情

swissjoho-biosuiss-5738-22017年現在、世界の国の数は196ケ国で人口約73億人。病気や環境汚染から、人々の健康だけではなく地球をも守ることが課題とされています。そこで、食の安全面や栄養面、環境を配慮した結果ブームになっているのがビオ。今回は、世界とスイスのビオ事情をご紹介します。

世界的にビオ志向が高まっている
 2015年にFiBL(スイス有機農業研究所)が行った調査では、179ヶ国がビオ農場を持ち、ビオ農家数は世界で約240万戸、前年よりビオ農地の広さは14.7%増、ビオ農家数は7.2%増となっています。
 ビオ農地面積が広いのは、2位を大きく引き離して1位がオーストラリア、2位がアルゼンチン、3位がアメリカで、これは国土の広さも関係しているといえそうです。一方、ビオ農地シェアの高い国は、フォークランド諸島(35.9%)、リヒテンシュタイン(27.3%)、オーストリア(19.7%)でした。

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スイスでも高まるビオ意識
 FiBLによると、世界のビオ農地の約29%がヨーロッパにあり、ビオ農地シェアの高い国はリヒテンシュタイン、オーストリア、スウェーデン(15.2%)、エストニア(14.8%)に続き、ここスイスは11.7%で4位。ビオ農地を全農地の10%以上持つ国は世界で11ヶ国ほどしかないことから、スイスでのビオ需要の高まりがうかがえます。実際に消費量は過去10年増え続けており、国民1人あたりの年間ビオ商品消費量は世界トップの262ユーロ(*32,335円)となっていることも注目に値するでしょう。*2017年5月時点
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ビオ商品を買う理由、スイス人の目的は少し異なる
 ビオ商品は、安全性や健康を目的に生産・消費されていると言われていますが、スイス人の目的は、1番が環境保護、2番が動物保護、3番が健康のため。非ビオ商品と比べて少々高くてもビオ商品やスイス産(または地元産)を買う、という人が常に一定数おり、平均するとスイス国民の63.2%が月に数回、ビオ商品を購入している計算になります。健康のためにハイキングなどを行っている人が多いスイスですが、環境や動物への配慮からビオ商品を買う、という姿勢は特筆すべき特徴です。 

原点に戻り、ビオの定義とは?
 ビオとは、農薬や化学肥料を使わず、環境ホルモンや遺伝子組み換えも除いた有機栽培(オーガニック)を指します。人間にとっての「安全、健康、美味しい」という副産物ではなく、「植物や動物の免疫機能を維持・増強し、生態系のバランスを保つこと」が本来の目的。ただ、コスト(手間)がかかることと価格がアップすることは難点で、課題の1つだと言わざるをえません。

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スイス最大のビオ団体 ビオスイス(BIO SUISSE)
 ビオ商品価格が非ビオ商品と比べて15〜50%高く設定されているのは、有機栽培農家への補償という見地から。このシステムを推進し、市場と品質の安定を図っているのはスイス最大の、有機農家による非営利団体ビオスイス(BIO SUISSE)です。緑のつぼみが描かれたロゴが目印で、「スイス国民の約90%が知っている」というアンケート結果が出ているほど、人々に浸透しているビオラベル。

 この団体は、設立された1981年より厳しいビオ認定基準を持ち、農地の環境だけではなく、生産過程や管理・処理方法、社会性や公平さなど、あらゆる角度からビオ商品をチェックし、それに付加価値をつけてきました。

ビオ農家のほぼ100%がビオスイスから認定を受けている
 スイスにある6000戸以上のビオ農家は、この団体に認定されています。また、スイスにある加工貿易企業(約890社)もビオスイスのライセンスを取得しており、加えて、独自のビオラベルを持つ小売業社もほとんどがビオスイスとライセンス契約を結んでいるため、どれもビオスイスの基準を満たしています。

 スイスのビオ商品市場の約60%のシェアを持っているので、デパートやスーパー、マーケットなどで緑のつぼみマークを必ず見かけることでしょう。

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ビオスイスの定義
 各団体が各基準を持っていますが、ビオスイスの基準は以下の通り。

  • 有機農場の自然多様性
  • 倫理的に健全な家畜の管理と飼育
  • 化学合成農薬や肥料を使用していない
  • 遺伝子工学を利用していない
  • 香料や着色料などの不要な添加物を使用していない
  • 食品・食材の乱暴ではない処理方法
  • 有機生産と加工の検査

 これらの条件を満たすよう、農地を最低2年はかけて有機栽培に適した状態にする、定期的に行われる検査に合格しないと資格が更新できない、など常にチェックが行き届いています。

スイスでビオ商品が安定して購入されている理由
 以上のように、厳しい管理下で生産されている、価格も高めなビオ商品。にもかかわらず、スイスでは安定した売り上げがあり、1人あたりにおける世界一のビオ商品消費量を誇るにいたるまで、何が功をなしたのでしょうか。

 それは、スーパーマーケット最大手のコープ(Coop)がビオ商品を積極的に販売し、「naturaplan」という自社ビオラベルを立ち上げ、全国展開している ことが大きな鍵となっています。スイス国内のビオ食品のうち47.8%がコープで販売されているというのは、どの駅にも1軒あるといっても過言ではないコープグループの店舗が販売しているからでしょう。

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 コープだけではなく、最大手スーパーのミグロ(Migros)も独自ビオラベル「Migros BIO」を揃えており、スイス国内のビオ食品の25.6%が販売されてい ます。ビオ食品流通の内訳は、77.9%がスーパーなどの一般小売、13.2%がビオ専門小売、5.5%が農家からなどの直接販売、4%がその他。わざわざビオ専門店に行くのは敷居が高くても、いつも行くスーパーの棚にビオ商品が並んでいれば、手に取るのはたやすいかもしれません。

 また、ドイツ系ディスカウントスーパーのアルディ(Aldi)やリードゥル(Lidl)がビオ食品を低価格で展開していることから、「ビオは高い」という固定観念が取り払われたのも理由の1つといえるでしょう。

各ラベルには、それぞれ特徴があるのか
 スイスのビオ事情を垣間見たところで、6月のコラムではラベルごとに見られる商品の特徴や、品質・価格の違いを比較していきます。

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<協力・お問い合わせ>
Bio Suisse
Peter Merian-Strasse 34 4052 Basel
Tel: +41 61 204 66 66
Website: www.bio-suisse.ch

<参照元>
Institute of Organic Agriculture (FiBL)
www.fibl.org

編集:Yoriko Hess,Yuko Kamata
写真:Yuko Kamata

 


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