住宅難のなかで増える空き事務所

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 建築ブームのチューリヒ (Zürich)。新築や改築工事のためにクレーンが立っている風景を至る所で目にします。チューリヒ市内では住宅不足が深刻な問題になっていますが、それとは反対に、事務所用の建物が未入居のままかなり多く余っているのが現実です。

 それならば、改築して住居として使ったほうが良いのではと思うのですが、事務所用の建物から住宅用に転換される割合はかなり低いようです。不動産の専門家や市職員によると、多くても年間3件から4件ぐらいしかないそうです。

 その原因としてはまず、都市計画による商業地や住宅地、またはその混合地帯など、どの地区に用途転換したい事務所が建っているかがあります。また、住居に適した場所であるかどうか、特に騒音の激しい場所に立地している場合は許可を得るのが難しくなります。

 次に、事務所用と住宅用の建築物は用途が違うために、構造的に大きな違いがあります。多くの事務所用の建築物は、受付などのために大きな正面玄関を備えていますが、住宅用の建物は消防法により10~12世帯に必ず一つの玄関が必要になります。また、事務所用の建物は横に広く、天井が低い場合が多く、中央部分が住宅用にする場合に暗過ぎるという問題があります。

 このように、用途転換して利用する場合には様々な法律の規制もありますが、例えすべての条件を満たしたとしても、最終的には所有者が改築に投資したいかどうかによります。改築の費用は、住居用の建物を新築するより高くつくため、躊躇する場合が多いのは当然のことでしょう。 

 また、改築する場合の費用は、1平米当たりおおよそ5500フラン(約55万円)で、新築の1平米当たり4500フランよりかなり高くなっています。もちろん住宅難が続けば、市場の様子をみて用途転換しようと考える所有者も増えるかもしれませんが、今のところ空き事務所が住居に転換されることはあまりなさそうです。

 市が空き事務所を買い取って市営住宅を建てるとか、そういう思い切った政策をとらないかぎり、残念ながらチューリヒの住宅難はまだまだ続きそうです。

 


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