望まない妊娠と助かる命 ~匿名出産~

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 出産は今も昔も変わらず女性に取っては一大事です。特に諸事情により妊娠および出産について周囲の人達に知られたくない女性に取っては、待ち望んでいる女性と比べると心労はかなり大きいと思います。様々な諸事情により育てることのできない新生児を親が匿名で預け、預けられた新生児はその後に養子縁組されるシステム「Babyklappe (独語) ※別名では、Babyfenster (独語) 」が、スイスには現在8カ所設置されています。このBabyklappeは、日本では熊本県熊本市の慈恵病院に設置されている「こうのとりのゆりかご」と同様のシステムです。

 ヴァリス (Valais) 州のシオン (Sion)の病院には、西スイス初となるBabyklappeが2016年2月より設置されています。同時に同病院は将来、匿名での出産が可能になることでも知られています。母子援助団体 (SHMK) の会長ドミニク・ムッグレラー (Dominik Müggler) 氏によると、匿名出産をする女性には病院滞在中は偽名が与えられ、出産行為は通常出産と同様に行われるとのことです。

 同国内にある匿名出産が可能な病院は上記以外には現時点では、トゥールガウ (Thurgau) 州、ザンクトガレン (St. Gallen) 州およびゾロトゥルン (Solothurn) 州の州立病院、バーゼル (Basel) 大学病院、チューリッヒ (Zürich) 大学病院、ベルン (Bern) 大学病院 (通称:Inselspital Bern) が知らてれいます。

 ムッグレラー氏によると匿名出産は、完全にBabyklappeに取って代わるものではなく、どちらかと言えば好ましい補完的システムです。Babyklappeの場合、完全な匿名性が保障されるのに対し、匿名出産の場合は出産する女性は病院にて自身の個人情報を提出する必要があり、新生児の養子縁組のため提出された個人情報は役所および小児・成人保護局 (KESB) に伝えられます。役所やKESBは提出された個人情報を保秘する必要がありますが、これらの情報が万が一、外部に漏れる危険性はないとは完全には言いきれません。なお匿名出産にて生まれた子供には満18歳までに生みの親を知る権利があり、そのため病院には提出された個人情報を申告するよう義務付けられています。

 Babyklappeを利用する女性の多くは自宅などで一人で出産するといいます。女性が一人で産院以外で出産することには母子ともに危険が生じる可能性や新生児を放置するなどの危険性が伴いますが、匿名出産の場合、病院と言う専門機関にて出産するためこれらの危険を回避することができます。

  なおスイスでは、Babyklappe以外の場所に新生児を放置することは犯罪行為になります。


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