かつてのハプスブルク家本拠地「ブルック」の街歩き ( Brugg, Aargau )

20191003_yasuemathis_brugg_4_cut アールガウ州(Aargau)の中心にあるブルック(Brugg)とヴィンデッシュ(Windisch)は、ローマ帝国時代には軍団基地ウィンドニッサ(Vindonissa)があり、また中世時代はスイスからオーストリアに拠点を移すまでのハプスブルク家(Habsburg)本拠地として栄えていました。

 ブルックは、スイス有数の温泉地として有名なバーデン(Baden)からも各駅停車のSバーンで約10分と気軽に足を運べる場所にあり、また主要都市チューリッヒ(Zürich)とバーゼル(Basel)結ぶ中距離急行列車インターレギオ(IR)も停車する駅なので、途中下車してぶらり街歩きもいいでしょう。

 街の旧市街は2つの地区で構成されており、大部分はアーレ川(Aare)の南に、残りは川の北側、標高516メートルのブルッガーベルク(Bruggerberg)のふもとに位置します。

20191004_yasuemathis_bruggwalking_1_cut1.ヴィンドニッサ博物館(Vindonissa Museum)
1912年4月28日に開館したヴィンドニッサ博物館は、古代ローマ軍駐屯地についての歴史を学べる博物館です。ヴィンドニッサで発掘されたローマ時代の考古学的出土品を数多く展示している貴重な施設です。常設展示に加えて期間限定の特別展示やイベントも開催。ゲーム形式で体験できるコーナーもあるので、子どもも楽しめるでしょう。

20191004_yasuemathis_bruggwalking_2_cut2.赤い家/ローテスハウス(Rote Haus)とハウプトシュトラッセ(Hauptstrasse)
旧市街の南入り口、ハウプトシュトラッセに建つローテスハウスは、1448年の記録の中ですでに言及されており、休憩所・宿として使用されていました。現在の建物は1840〜41年に建てられたもので、ホテルとイタリア料理店が入っています。さて、中世時代にはここに赤い塔/オーバレ塔(Rote Turm/Obere Turm)がありましたが、1444年に起こった「古チューリッヒ戦争(Alte Zürichkrieg)」で赤い塔を含む街の要塞はほぼ破壊しました。その後1448年までに城壁と門は修復され、塔も再建。19世紀後半にスイス各地で都市要塞の解体が行れていく中、ブルックの街も北側にある全ての門を1835年までに取り壊しました。第二のランドマークでもあった赤い塔については多くの議論がありましたが、1840年に解体されたそうです。

20191004_yasuemathis_bruggwalking_3_cut3.市教会(Reformierte Stadtkirche Brugg)
旧市街西側に位置する市教会。最も古い部分は、もともと都市要塞の一部であったグロッケン塔(Glockenturm)で、1220年頃に建てられたもの。その後、1479~1518年の間に3つの身廊(しんろう)、サイドチャペル、聖歌隊席が備えられた後期ゴシック様式に再建されました。1528年以降は改革派教会として使われ、現在の教会は1734~40年にバロック様式に再建されたもの。教会のすぐ隣には、旧ラテン語学校(Ehemalige Lateinschule)があります。3階建てバロック様式の建物は1638〜40年に作られたもので、後壁が都市要塞の一部を形成していました。正面の壁画の制作は1640年。神学と中世の7つの学芸(算術・幾何学・修辞学・論理学・天文学・音楽)を示す女性像が描かれています。また、窓枠下の聖句はドイツ語・ラテン語・ギリシャ語・ヘブライ語の4つの言語で記載されていました。さらに、教会のそばには1554年に建設された都市要塞の一部である「アルヒーフ塔(Archivturm)」が建っています。

20191004_yasuemathis_bruggwalking_4_cut4.シュヴァルツァー・トゥルム(Schwarze Turm)と旧市庁舎(Ehemaliges Rathaus)
写真中央の塔は街で最も古い建物で、アーレ橋(Aarebrücke)の橋頭堡として12世紀末に建てられたシュヴァルツァー・トゥルムです。一部はローマ帝国時代の軍団基地ウィンドニッサ遺跡の石を利用しているそう。1535年に増築され現在の高さ(25.70m)になりました。塔の南西側面にくっついて建てられているのは1579年建造の後期ゴシック様式旧市庁舎で、現在はアパートとして使われています。

20191004_yasuemathis_bruggwalking_5_cut5.旧市庁舎前の噴水(Rathausbrunnen)
旧市庁舎前に建つ後期ルネサンス建築の噴水は1557~63年に建設されました。ユースティティア像(Justitia)はヴェッティンゲン(Wettingen)出身のスイス人彫刻家エドゥアルド・シュペリ(Eduard Spörri)氏によるもので、こちらは1928年に支柱に建てられたもの。

20191004_yasuemathis_bruggwalking_6_cut6.ザルツハウス(Salzhaus)
旧市街東端のホーフシュタット(Hofstatt)に建つザルツハウスは1732年に建設されました。もともと要塞の一部として「ハプスブルク城(Habsburger Schloss)」または「オーストリアの家(österreicher Haus)」と呼ばれた建物が建っており、当初はハプスブルク家の住居として機能していたのだとか。その後同家の本部として使用されたのち、1528~1694年にかけてはエフィンガー(Effinger)家が引継ぎます。そして1732年にベルンの塩管理者が建物を買収、その基礎の上に塩倉庫ザルツハウスを建てました。保存状態が良く、現在は多目的イベントホールとして使われています。

20191004_yasuemathis_bruggwalking_7_cut7.ブルック市立博物館(Stadtmuseum Brugg)
ホーフシュタットで最も印象的な建物のひとつであるブルック市立博物館は、1673年に建てられた街の旧武器庫。1964年から郷土博物館として街の歴史に関連する貴重なコレクションを展示しています。中でも、スイスで最も重要な風景画家のひとりである、画家アドルフ・ステーブリ(Adolf Stäbli)氏のコレクションは必見。博物館は4~10月の日曜13~17時まで開館、入館料は無料です。(*2019年10月現在)

 さて、ブルックには他にも、スイスの古いSLから電気機関車・ディーゼル機関車を保存している車両保存館(Bahnpark Brugg)、ケーニヒスフェルデン修道院(Kloster Königsfelden)、レギオネールスプファード・ヴィンドニッサ(Legionärspfad Vindonissa)などまだまだ見どころがたくさんあります。魅力いっぱいのブルックに足を運んでみてはいかがでしょうか。

<現地の観光案内所>
Info Region Brugg
Badenerstrasse 13, 5200 Brugg
c/o Brugg Regio
+41 (0)56 450 35 55
info@regionbrugg.ch
www.regionbrugg.ch (独)

<アクセス>
所要時間:チューリッヒ中央駅(Zürich HB)から電車で約25分
チューリッヒ中央駅より、バーゼル(Basel)行き中距離急行列車インターレギオ(IR)に乗車、ブルック駅下車。


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