地元の人も知らない?スイス軍地下施設

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地下基地に行く前にある建物

スイスでは身近なスイスアーミーの存在
 兵役が今も残るスイスでは、毎週金曜の夕方には週末に実家に帰る軍服姿の青年に電車で乗り合わせることがよくあります。彼らは日曜日の夜にまた兵役を行う施設に戻るようで、その時間帯にも車内でよく見かけます。また、スイス各地では郊外を歩いていると空に轟音を立てて空軍機が飛び交う場面に遭遇することも。訓練のための軍施設やトラック、また訓練そのものを見かけることもあるでしょう。

 スイスの普通車に用いられるナンバープレートの州旗は軍用車にはついていません。軍用車の場合は「Military」の「M」で始まるナンバープレートで、カーキ色の車体が多いので、すれ違うとすぐにわかります。
 
 ですが、軍が山間部に建てた施設に関してはカモフラージュされていて公に知られていないものもあり、実際にはあちこちに配置されているにも関わらず、パッと見では一般人は気がつかないものも多いのだとか。

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この岩の下にカモフラージュされた入口があります

山の中にひっそりと佇む地下施設
 今回はフリブール州のとある山岳地域で、今は使われていない軍用の地下施設を特別に見学することができたので、その一部をみなさんにもご紹介します。地元のスイス人ですら知らないというこの要塞、地元の人づてで一度だけ特別に入ることができましたが、一般公開はしていません。

 場所は、とある州にある牧草地としか思われない小高い山の田舎道を上に進んだところ。案内にしたがって歩いて行くと、標高1,000メートルほどの柵がかかった軍の敷地に到着しました。

 そこから徒歩で地下基地に進む前に、15人ほどの参加者に、元軍関係者であるガイドさんからの説明と注意がありました。写真は撮影しないこと、したい場合には申し出るようにとの事でした。ちなみに、普通の山の岩土を掘った中にこの施設が建てられているので、空から見たらその存在は全くわからないのだそうです。

 山道をしばらく進むと、岩山に突如としてカモフラージュシートがかかっていました。それをめくると、奥には重厚な扉が現れ、鍵を開けたら、いよいよ内部へ入ります。

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兵隊 大部屋

中はまるで迷路!写真撮影が禁止の部屋も
 施設内は間取りがとても複雑で、アリの巣のよう。基地内から地上に攻撃のできるミサイル、実弾の兵器倉庫やミサイルの制御施設、監視塔などをはじめ、兵隊の使用していた台所、食堂などの生活空間が蜘蛛の巣状に左右に広がっていて、驚きの連続でした。通路で繋がった施設内部全体の広さは約2,000平米、百人以上の兵士が生活できるようになっていたのだとか。また、これは面白いなと思ったのですが、夏に訪れたのにも関わらず、中はジャケットを着ていても寒いほどでした。

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兵隊 4人部屋
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兵隊 2人部屋

 お許しをもらって写真を撮ることができたのは、武器や機密事項に触れないの居住の区画と部屋で、ランクによって異なる寝室・ダイニング・廊下などです。閉鎖されて20年以上たっていますが、生活物資、一部の制服などがそのまま置いてありました。また、写真撮影は許可がでませんでしたが、実弾やミサイルを発射するための部屋も見ることができました。この施設は1990年ほどから使用されていませんが、当時の新聞などはそのままの状態で保管されているようでした。

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廊下にかけられた制服

 ここが使われていた当時は、女性兵士はおらず、女性は伝書鳩部隊に所属だったとか。

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司令官用?食堂

スイス各地にある、山間部の軍施設
 ちなみに、牧畜農家の納屋や山小屋にカモフラージュされた軍基地もあるのだそうです。ひとつひとつカモフラージュの仕方が異なるため、全てを見つけるのは至難の技。ですが、みなさんもスイスで田園地域に出かけた際には納屋やシャレーに見える建物を注意してみると、ひょっとすると、新たな発見があるかもしれません。

<取材先>
山間部の軍用施設(Grande bâtisse de l’armée)
所在地: フリブール州某所(詳細は非公開)


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