【男子テニス】フェデラー、スイス・インドアで10度目V達成!

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 黄金に輝く優勝杯を抱えながら、同じ色の紙吹雪に包まれたロジャー・フェデラー選手。

 「ここ(バーゼル)で、1度ばかりか10度も優勝できるなんて思いもしなかった。本当に特別だ」 と、溢れ出る涙をぬぐい、心を強く打たれる感動のフィナーレに臨みました。

 男子テニス、スイス・インドアは27日、シングルス決勝が行われ、フェデラー選手が同大会最年少プレーヤーのアレックス・デミノー選手を6-2、6-2で下し見事優勝。故郷バーゼルでキャリア通算103勝目という偉業を成し遂げました。同大会での激闘を振り返り、その圧倒的な強さの秘密に迫ります!

 

 
スイス・インドア概要

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 毎年10月、スイスのバーゼル(Basel)で開催される男子プロテニスツアーのATPツアートーナメント大会「スイス・インドア(Swiss Indoors Basel)」。1970年に初開催され、今年で50年の節目を迎えました。

 同大会最多優勝記録を保持しているのは、バーゼル出身で史上最高のプレーヤーと称されるロジャー・フェデラー(Roger Federer)選手。シーズン終盤の同大会では、年間の上位8選手で競うツアー最終戦「ATPファイナルズ(Nitto ATP Finals)」への出場権を懸け、熾烈な闘いが繰り広げられます。swissindoors-Radu_Albot_2464

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男子シングルス歴代優勝者

 今年で50年を迎えたスイス・インドア。歴代優勝者には、どんなトッププレーヤーたちが名を連ねているのでしょう。過去20年を遡ってご紹介します。

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昨年の試合結果

 2018年のスイス・インドアは、開幕直前に主力選手の欠場が相次ぎ、予選から勝ち上がってきた新鋭選手が決勝の大舞台に駒を進めるなど、まさに波乱に満ちたトーナメントでした。

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いくつもの大番狂わせ、観衆の感嘆を誘う華麗なプレーの数々、最後の最後まで結末がわからないドキドキの展開と、実にさまざまななドラマが詰まっていました。

 そんなスイス・インドア2018を制したのは、ロジャー・フェデラー選手。予選勝者のマリウス・コピル(Marius Copil)選手を破り、同大会での通算9度目の栄冠に輝きました。

【スイス・インドア特集】フェデラー、バーゼルで9度目の栄光
スイス・インドア2018のハイライト動画も合わせてお楽しみください。

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オープニングセレモニー

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 本戦初日は「スーパーマンデー(Super Monday)」と呼ばれ、テニスと音楽の融合をテーマにした恒例のオープニングアクトが行われます。

 今年は、2002年日韓FIFAワールドカップの公式テーマソング「Boom」で有名な米シカゴ出身の歌手、アナスタシア(Anastacia)が登場!「I’m Outta Love」など世界的ヒット作を全6曲披露し、会場は、文字通り満場の拍手と熱気に包まれました。

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出場選手の紹介

 同大会の優勝候補No.1は何と言っても、スイスが誇るテニスの王者、ロジャー・フェデラー(Roger Federer)選手!自身が持つ歴代1位の同大会最多優勝記録(9回)の更新、そしてキャリア通算103回目のタイトル獲得を懸けたトーナメントです。

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 さらに、次世代のNo.1候補とされる22歳のアレクサンダー・ズベレフ(Alexander Zverev)選手。同大会の約10日前に開催された上海マスターズでは、フェデラー選手を撃破しています。

同じく期待の若手、21歳のステファノス・チチパス(Stefanos Tsitsipas)選手、2016年の同大会で錦織圭選手と決勝で対戦し、見事優勝を果たしたマリン・チリッチ(Marin Cilic)選手、さらに同胞のスタン・ワウリンカ(Stan Wawrinka)選手など、注目プレーヤーが揃いました。

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試合結果・スコア詳細ドロー

 スイス・インドア 2019の本戦ドロー(トーナメント表)と試合結果をまとめました。

 

※ 【ドロー表記】
▪️Qualifier (Q) 予選勝者
▪️Wildcard (WC) 主催者推薦枠
▪️Special Exempts (SE)
前週の大会で準決勝以上に進出したため、出場予定の大会予選に出れない選手が予選を免除され、本戦から出場できるようにする救済処置

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西岡良仁選手も参戦!錦織圭選手は?

 日本からは、世界ランク74位の西岡良仁選手が予選から出場。シドニー、シンシナティ、ストックホルムでベスト8進出を果たすなど、今シーズン素晴らしい躍進を遂げています。

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 予選1回戦の当日、西岡選手はストックホルムから移動しての参戦。ハンガリー出身のアッティラ・バラズ(Attila Balázs)選手を相手に6-3、6-2のストレートで快勝するも、続く予選2回戦ではボリビア出身のヒューゴ・デリエン(Hugo Dellien)選手に5-7、2-6で敗れ、惜しくも予選敗退となりました。

 試合後、自身のツイッターで本大会の結果を報告、パリ大会予選への望みを繋いでいましたが、25日には参加が決定!パリでのさらなる活躍を期待したいところです。

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錦織圭選手(スイスインドア2016記者会見にて)

 そして2011年と2016年の同大会で準優勝を果たしている錦織圭選手は、同時期にオーストリアで開催されるエルステ・バンク・オープン(Erste Bank Open)に出場予定でした。しかし、右肘故障のためアジアシーズンに続き欠場及び今季終了を発表。ATPファイナルズ(Nitto ATP Finals)への2年連続出場はかないませんでした。

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本大会で優勝を果たした選手は?

 今年の同大会では準決勝に進んだ4名の選手のうち、大会最年長プレイヤーである38歳のフェデラー選手を除いた3名は皆、22歳以下。男子テニス界=ビッグ4の時代から、着実に「世代交代」の波が押し寄せてきいることを象徴しているかのようでした。

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 ですが、記念すべき開催50周年という節目の舞台で栄光を手にしたのは、やはり、フェデラー選手。王者の強さは未だに衰えを知らないことを証明しました。スイス・インドア2019を制したフェデラー選手は、同大会の最多優勝記録を10回に塗り替え、キャリア通算103勝目という偉業を達成。また一つテニス史に新たな金字塔を打ち立てました。

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優勝するまでの道のり(初戦〜決勝戦)

 本大会でフェデラー選手が初戦から優勝するまでの道のりを振り返ってみましょう。※ハイライト動画も公開予定です!どうぞお楽しみに。

1回戦

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ロジャー・
フェデラー
2 6-2
6-1
0 ペーター・
ゴヨフチク

 本戦初戦では予選勝者のペーター・ゴヨフチク(Peter Gojowczyk)選手を6-2、6-1で下しました。強烈なサービスと圧倒的なボールコントロール能力を武器に、相手にたった3ゲームしか与えず、試合時間わずか53分の圧勝劇!

 「全くエネルギーを消耗しなかった。この試合はまるで、観衆の前での最高の練習であるかのようだった」と余裕と貫禄を見せつけました。

2回戦

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ロジャー・
フェデラー
2 6-0
6-3
0 ラドゥ・
アルボット

 2回戦では、モルドバ・キシナウ出身のラドゥ・アルボット(Radu Albot)選手と対戦。第1セットは相手に1ゲームも与えず、わずか22分で先取。そして続く第2セット、試合開始から39分後に、この試合で最も印象的なシーンが訪れます。会場から割れんばかりの大歓声が起こったのです。それは、スイスが誇るスーパースターではなく、その勇敢な対戦相手に対して。

 フェデラー選手から念願の1ゲームを奪うことに成功したアルボット選手は両手を上げ全身で喜びを表現、観客もまたエールで呼応。しかしこれが反撃の糸口となって、試合時間62分、0-6,3-6で王者の前に屈しました。

準々決勝

ロジャー・
フェデラー
2 W.O 0 スタン・
ワウリンカ

 フェデラー選手はスタン・ワウリンカ選手と27回目の同郷対決を迎える予定でした。しかし、ワウリンカ選手は前日のフランシス・ティアフォー(Frances Tiafoe)選手との2時間半にも及ぶ激闘を制した後、背中の負傷により準々決勝棄権を発表。フェデラー選手は不戦勝で準決勝に駒を進めました。

* W.O(ウォークオーバー):失格や体調不良、出場辞退による棄権による不戦勝

準決勝

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ロジャー・
フェデラー
2 6-4
6-4
0 ステファノス・
チチパス

 フェデラー選手の準決勝対戦相手は弱冠21歳、ギリシャの新星ステファノス・チチパス選手でした!準々決勝を不戦勝で体力温存していたフェデラー選手は、華麗なプレーを随所で披露。

 特に第1セット終盤、前に出てきたチチパス選手の脇を抜く右手一本のバックハンドは見事なものでした。その後も終始ゲームを支配、6-4, 6-4のストレートで決勝進出となりました。

決勝

ロジャー・
フェデラー
2 6-2
6-2
0 アレックス・
デミノー

 フェデラー選手との決勝戦まで勝ち抜いてきたのは、オーストラリア出身のアレックス・デミノー選手!今年の全米オープンで錦織選手を破った実績もある、次世代スター候補の一人です。

 世界の王者が、その俊敏なフットワークからの粘り強いプレーに苦戦を強いられる場面もありましたが、戦力差は歴然。初の顔合わせとなった同大会最年長(38歳)VS最年少(20歳)プレーヤーの優勝争いは、6-2、6-2、試合時間63分の圧勝劇で終わりました。

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フェデラー選手の優れた技術

 フェデラー選手の強さを支えるのは、やはりその卓越した技術。トレードマークとも言える攻守揃った華麗な片手バックハンドは、安定感と威力を両立させ、相手のボールの力を利用して、最小限の動きで効率よく打ち返します。さらにスライスやハードヒットと自由自在な万能型。

 そして安定感とスピード、巧みなボールコントロールを兼ね備えたサーブ。2017年のウィンブルドンでは、歴代3人目となるサービスエース数キャリア通算10,000本という偉業を達成しています。まさに、フェデラー選手の最大の武器の一つと言えるでしょう。※こちらは動画も公開予定していますので、どうぞお楽しみに。

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フェデラー選手、優勝記者会見

 かつて同大会でボールボーイを務めた経験を持つフェデラー選手は、優勝後の恒例イベントとして、”ピザパーティー”でボールキッズたちと勝利を祝いました。

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その後の優勝記者会見では….

「10度目の優勝にとても満足している。自分らしいプレーができたし、あまり苦労を強いられなかった。だからこそ1試合1試合を楽しむことができ、観客の存在を十分感じることができた。」

「過去数年のバーゼルでは辛勝が続き、もしかしたら今回は勝てないかもしれないと思ったこともあった。だからこそ、この1週間がパーフェクトだったことが、本当に嬉しい。信じられない」

と喜びを表現。

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今後に向けて….

「最優先事項は、ロンドン(ATPファイナルズ)にベストコンディションで臨むこと。インディアンウェルズ(BNPパリバ・オープン)やウィンブルドンでは、タイトル獲得まであと一歩届かなかった。だから今年中にもう一つ大きなタイトルを獲りたい」

と意欲を見せました。最後に、表彰台で流した涙について聞かれると、

「僕にとって感情をある程度表に出すことは重要なんだ。そうすることで勝利はより大きな意味を持つ。後で振り返った時に、その瞬間をより鮮明に思い出せるんだ」

 フェデラー選手にとってホームでの大会の優勝は、非常に感動的な勝利だったといえるでしょう。

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東京五輪で悲願の金メダルに挑む

 フェデラー選手は同大会の直前、10月14日に東京・有明コロシアムで行われたユニクロ主催の慈善イベントに参加し、「来年のオリンピックに必ず戻ってくる」と東京オリンピックへの出場を明言しました。

 2008年の北京五輪ではワウリン選手とのペアで金メダルを獲得していますが、2012年のロンドン五輪ではシングルスで決勝まで勝ち進むも、アンディ・マレー(Andy Murray)選手に破れ、惜しくも銀メダルに終わりました。続くリオデジャネイロ五輪は、左膝故障のために欠場。

 テニス史を次々と塗り替え、数々のタイトルを手にしてきたフェデラー選手が、唯一手にしていないメジャータイトル、五輪のシングルス金メダル――。来年こそは、その悲願達成へ大いなる期待が寄せられます。

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まとめ

 まさに、筋書きのないドラマ。優勝候補の一角の初戦敗退や途中棄権など、予想外の展開、そして手に汗握る熱戦の数々…

 この予測不能な物語は、スイスが誇る最高のテニスプレーヤーが手にした10度目の優勝で完結しました。まるで始めから唯一決まっていたシナリオだったかのように。

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 絶大な強さと存在感を誇る最強王者もすでに38歳。しばらく前から引退も囁かれていますが、来年の東京五輪出場も明言。今後もコートに立ち続け、世界中のテニスファンを魅了してくれることでしょう。

 来年のバーゼルでも、彼のエネルギッシュな戦いを期待せずにはいられません。

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編集:Chika Bless(執筆・写真), Yuko Kamata
動画: Chisato Mochizuki

<協力>
Swiss Indoors AG
Bettenstrasse 73 4123 Allschwil
www.swissindoorsbasel.ch


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