インクルーシブ教育、スイスの実態は?

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 アールガウ州レンツブルク(Lenzburg, Aargau)に住む、カルメンちゃん(5歳)。彼女はダウン症がありながらも、通常の幼稚園に通っています。しかし、それは簡単なことではありませんでした。

 彼女の父親であるエリックさんは、その幼稚園に通わせるために弁護士まで雇わなければならなかったとか。「当初、自治体はカルメンを特別学校に入れる方針だった。しかし、私たちは、娘のために自治体の方針と戦う気持ちを持ち続けなければならなかった。たくさんのエネルギーを必要としたし、数えきれないほどの文書やメール、面談をしました」とスイス公共放送SRFのインタビューで語っています。

 スイスでは、平均しておよそ3.4%の子どもたちが、特別学校や特別学級に通っていると言われています。州によって1.2%から5.7%と大きな幅があり、アールガウ州では4.6%と比較的高い割合。さらに、居住する自治体によっても、対応は大きく異なっているのが実情です。

 例えばルツェルン州は、上記の数値が1.8%に留まり、インクルーシブ教育の推進派。ある小学校に通うリンダちゃん(11歳)もダウン症ですが、他の5年生と同じように通常クラス。授業中は、専門教員1人がつき、彼女をサポートしています。父親の話によれば、「幼稚園の頃から学校側が協力的」だったのだとか。

 インクルーシブ教育を推進する国会議員のパスカーレ・ブルーダラー(Pascale Bruderer)氏は、「スイス憲法や国連の条約でも明記されているように、選択の自由を確保すべきだ」と語り、ハンディキャップのある子どもたちにも、通常学校に通う機会と選択権を与えるべきだとしています。

 カルメンちゃんの学校生活は始まったばかり。これからも、彼女の人生の可能性を広げるような教育を受けられるよう、自治体のサポートが増えていくといいですね。

 


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