スイスの幼稚園 〜個性によって異なる進路〜

swissjoho-education-3983  幼稚園に入園すると、親も子どもも期待と不安に胸をふくらませることでしょう。そして日本と同様に、スイスの幼稚園もまた、入園後は同級生全員が、足並みを揃えて次のステップを踏むものだと思っている方も多いのではないでしょうか。

 しかしながら、この子ども達の入園から1年後のその進路は、幼稚園児にしてなかなか「シビア」なものでした。今回は北スイスの幼稚園での「個性によって異なる進路」について、スタッフの体験談や事例を交えながらご説明いたします。

 入園から1年後の子ども達の進路は、大まかに次の3つのタイプに分かれます。

①  小学校へ進学
専門家の判断と本人とご家族の意思により、2年間の幼稚園生活を1年で切り上げ、8月には小学校への進学が決定した子ども
※小学校への進学についてはこちら


②   幼稚園の継続

専門家の判断を受けて同じ幼稚園に継続して通う、または、別の幼稚園でまた最初から2年間通うことになった子ども

③  見極め期間の延長
現時点では判断できない。今もう少し成長過程を見る必要があり、翌年卒園できるかどうか分からない子ども

年齢の枠には捉われない
 ②のように2年保育が採用されても、子ども達の個性や成長過程を判断して、3年間幼稚園へ通う園児もいれば、その幼稚園への入園自体を遅らせるケースも多くあります。

 例として、専門家からの指摘を受けから、幼稚園入園前に週1回の言語療法に連れて行き、入園を1年遅らせる方もいます。この場合、(子ども達にとって)最善な環境をゆっくりと見極めていきたいという判断で、必ずしも「年齢」の枠組みに捉われることを軸に幼稚園が成り立っている訳ではないことが分かります。

 また、①に該当する子どもが小学校へ進学できるものの、「もう1年幼稚園へ行きたい」と強い希望を示し、合計3年間の幼稚園生活を思う存分に楽しむことも可能です。これは、本人の意思と受け入れる幼稚園側が了承すれば、子ども達自身にも選択権があることになります。

スイスでは当たり前のこと
 就学を前にして、同年齢でありながら、様々な進路を歩んでいくスイスの子ども達。 そしてその結論を、それぞれに受け止めることが大切であり、スイス人の親たちが皆口を揃えて言うのは、「結果、みんなが自分に合った場所で快適に過ごせれば、それでよい」という毅然としたものでした。

見放さない教育
 ③に該当する子どもでも、すぐ判断をするのではなく、もう少し時間をかけて成長過程を記録し判断をするという、見放さないという教育姿勢があります。「出来ない環境」に劣等感を抱きながら、エスカレーター式に次のステップを踏むことよりも、(その子にとっての)適切かつ快適な居場所を見つけてあげたいという、思いやりにも感じます。

 同時に、不得意なことには幼いうちに対処しながらも、無理をせずに時間をかけて、貴方の歩むリズムで進めばいいのだと、温かく援護を受けているようにも思えます。

 一見非情にも思えたそれぞれの進路でしたが、結局のところ、「見ないふり」や「置き去り」という見放した教育ではなく、子ども達の個性を最大限に尊重した、 「真っ当な教育システム」のように受けとめられました。

 

*上記の記載内容は、一個人が過去に体験したことを元にしています。進路課程についての詳細は、学校に直接お問い合わせください。
*現在お住まいの州またはお住いの地域によって、進路の進め方や考え方などが其々異なりますので、あくまでも目安としてご参考までにご活用ください。

 


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