スイスの幼稚園〜教育現場と親の本音〜

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 ところ変われば…というように、日本とスイスの教育システムにも大きな違いがあります。進学に向けて、親も子どもも大きな岐路に立ち、時には決断を下さなくてなりません。

 今回はスイスの教育現場から生の声もお届けしたく、北スイスに住むスタッフがシャフハウゼン州(Schaffhausen)の幼稚園の先生に直接お話をうかがいしました。今回は、その教育現場から生の声とスタッフの体験談などを交えながら、「幼稚園の教育現場と親の本音」についてご説明いたします。

幼稚園の先生の「勘」とチームワーク
 幼稚園の先生自身も2人のティーンエイジャーの母親で、どんなに大きく成長しようとも、親の心配事は尽きないものなのだと話されていました。さて、長年に渡って国籍も個性も様々な園児たちと触れ合う中で、どこか教師としての「勘」が働くことがあるのだそうです。

 とはいえ、「教師としての長年の経験と勘」だけでは、すべてを解決することは困難でしょう。そこで、その「何か」を細かくひも解くお手伝いをするのが、医療教育士(Heilpädagogin)を始めとした専門家の先生方なのだそうです。そしてこの絶妙なチームワークが、スイスの幼稚園のシステムの「大きな柱」となっています。

親の本音
 スイスの幼稚園の特徴のひとつは、必ずしも「すべての園児が同じ進路を進むわけではない」という、厳しい現実があり、また、思いがけない提案に、失望や不安を感じる親御さんもいらっしゃるのではないでしょうか。

 実際に、「まさか自分の子どもが?!」と、なかなか受け入れることが出来ないケースもよくあるようです。ここで、いくつかの事例をご紹介したいと思います。

まさか、わが子が!? 親にゆだねられる決断
 
 *ゆっくりクラス(EK:Einschulungsklassen)にわが子を進学させるか、それとも普通クラス(Regelklasse)を選択するかで悩まれる親御さんも少なくはありません。この時の親の心境としては、「まさかわが子が」と信じられず、到底受け入れることは容易ではないでしょう。

 専門家の先生はそんな時に「普通クラスで大丈夫」という見解を示す一方で、幼稚園の先生は、「この子には、ゆっくりクラスをおすすめしたい」と両親に伝えることもあるようです。

  同じような体験をしたSさん(筆者の友人)は、家族間でも意見が分かれる中、長い時間を掛けて出した「ゆっくりクラス」への進学を決意。その後、子どもは無理なく勉学に励むことができ、結果的にはとてもよい選択だったと、胸を撫で下ろしていました。

 このように、時には専門家の先生と幼稚園の先生の間にも、意見の相違が生まれることがあるとか。それだけ繊細で、明確な判断をすることが容易ではないことが分かります。

それでも通わせたい…親の願い

 保護者面談のその日、Sさんの子ども達を自宅で預かっていました。ところが面談を終えて帰宅した友人の顔色が優れません。先生から、わが子が通常の小学校ではない、別の選択肢の進学を視野に入れてる状況を聞いて、意気消沈していたのでした。そして同時に「そんなはずはない」と憤りも見せていました。

 その後、何度も話し合いを重ねましたが、こどもを通常の小学校へ進学させることに決めました。小学校へ入学して間もなく、担任の先生から保護者への連絡で、学校での様子や毎朝の補修の授業が必要なことが伝えられました。

 およそ半年間続いた1人だけの補修授業ではありましたが、結局のところもう1度、1年生をやり直すことになりました。

シビアで現実的な教育現場
 スイスの教育現場は率直に、「シビアで現実的」ですが、 「見放さない教育」ゆえに、しっかりと現実と向き合い、そしてしっかりと対応します。手厚くも、そして厳しくもあるスイスの教育システムに期待をしつつ、子ども達の今後を見守っていきたいと思います。

 

*ゆっくりクラス(EK:Einschulungsklassen)とは、学ぶスピードがゆっくりな子どもを対象とした、特別クラスになります。
*上記の記載内容は、一個人が過去に体験したことを元にしています。進路課程についての詳細は、学校に直接お問い合わせください。

*現在お住まいの州またはお住いの地域によって、進路の進め方や考え方などが其々異なりますので、あくまでも目安としてご参考までにご活用ください。

 


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