小学校で複雑化する多言語

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 夏休みが明ける8月中旬あたりから、スイス各地では新学年が始まります。スイスでは小学3年生(8~9才)になると、いよいよ外国語の授業が始まるんだと意気込んだり、不安を感じたりする子どもも多いことでしょう。今回はスイスでの「小学校で複雑化する多言語」について、スタッフの体験談や事例を交えながらご説明いたします。

 スイスの公用語はドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の4つ、この複雑な言語事情を抱えるスイスで、現在大きな論争が起こっています。

言語の複雑化
 現在、小学校から第1外国語を学ぶスイスでは、学校でどの言語を選択するべきかという議論が高まっています。例えば、スイス北部のシャフハウゼン州(Schaffhausen)ではドイツ語が公用語になりますが、当然ながら第2、第3の母国語となるフランス語やイタリア語を学ぶべきとの声があります。

 しかしながら、国際社会に通用する英語を優先するべきとの意見も強まり、複雑化しているのが現状です。「学校で学ぶべきなのは、母国語か英語か」、これが今現在問われている、大きなテーマのひとつとなっています。

多言語話者の高比率
  以前、友人のお子さんが通う公立の幼稚園のリストを見せてもらったことがありました。名前や住所などが記載された連絡網だったのですが、最後に母国語リストも添えてありました。そして驚くことに、その20人中19人がドイツ語以外の言語も操るバイリンガルでした。

 言わずと知れた多民族国家のスイスですが、彼女たちが暮らす地域は特に外国人が多く、勉強をする以前に言葉の問題が重くのしかかるため、他の地域の学校に比べて、学力の低下が問題視されているようです。

 けれども日常会話としての問題はほとんどなく、義務教育である幼稚園での2年間の生活の中で、ドイツ語を順調に学んでいく子ども達がほとんどの割合を占めることもあるようです。

神様からの贈り物
  ところで2か国語を家庭で自然に学べる環境にあることを、スイスでは「神様からの贈り物」と呼びます。とは言え、バイリンガルを育てるには苦労も多く、その子どもも親も、共に日々の努力を続けなくては得られないものです。

 日本でも長く親しまれているあのハッピーバースデーの歌を、毎回続けて3ヶ国語(英・独・伊)で歌うこの子ども達が、さらに近い将来に第1、第2外国語、いや彼らにとっては第3、第4の外国語をも学ぶことになるのかと思うと、一体全体この子ども達の頭の中はどうなっているのかと、羨ましく思うこともあります。

 インターネットの普及によりグローバル化が進むこの現代を生きる子ども達が、多言語を操りながら今後どのようにして国と国との架け橋になっていくのかが、楽しみです。

 

* 上記の記載内容は、一個人が過去に体験したことをもとにしています。
* 現在お住まいの州または地域によって、第1、2外国語が異なります。お子様が通われる学校での外国語についての詳細は、学校に直接お問い合わせください。
* 州や学校によっても、進路の進め方や考え方などが異なります。あくまでも目安としてご参考までにご活用ください。

 

 


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