地域に伝える伝統衣装・トラハト

 伝統衣装、それはその土地で生活する人々の歴史や文化・伝統を見て分かるように表現した服。日本の伝統衣装と言えば、我が国の誇る伝統文化の1つでもある着物。この伝統文化を守りながらも時代の流れと共に進化し続けています。実は、ここスイスにも伝統衣装「トラハト(Tracht) 」があるのをご存知ですか。今月のコラムは、『スイスの伝統衣装・トラハト』についてご紹介致します。
トラハト(Tracht)とは?

 Trachtの語源は、ドイツ語の動詞 ”tragen” (運ぶ、着る、支えるなどの意味)が”Tracht” (過去分詞)になったといわれています。

 元々は、アルプス山脈に位置する国々(南部ドイツ、スイスやオーストリアなど)に住む農家の女性たちが着ていた伝統的な衣装が基礎となったようです。アルプス山脈という地形、気象条件や文化が異なる国毎で、独自の個性を主張した仕様と色合いや装飾になっています。

 一般的によく知られているのは、ビーズや刺繍で豪華に装飾された女性用ドレスや帽子。男性服では、刺繍で豪華に装飾されたジャケットに、膝丈パンツとサスペンダー、膝丈までのソックスなど多種多彩ですが、スイスでも様々な衣装を見ることができます。

伝統衣装の色やデザインから、各々地域の始祖が見分けられる

 今日のスイスで、このような衣装がみれるのは、特別な儀式や祭りなどの行事のほか、主に山岳地方で開催される祭り行事や民族音楽祭などです。また、スイスの州や自治体、祝日と平日の外出用、作業用といった使用目的でも、デザインや色が少しずつ異なり、衣装を見るだけでどこの地方の人かが分かるのも、それぞれの特徴や文化が感じられ大変興味深いです。

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文化の継承伝統と国の価値を守ること

 伝統衣装は文化の継承伝統とあるとともに、人と人を繋げ、地域内における絆を作っていくもの。

 連邦民族衣装祭(Eidgenössisches Trachtenfest)は、2010年の6月4日から6日まで3日間、シュヴィーツ州(Schwyz)で開催されました。スイス全国の各地から民族衣装をまとった人たちおよそ4万 5000人がこのイベントに参加し、7万5000人の見学者でシュヴィーツ市内が賑わいました。スイス国内の3日間イベントで見学者数が7万人を超えるということは、伝統文化への理解度と高い関心があることがわかります。

 連邦民族衣装祭は衣装に特化したイベントになりますが、国内ではこのイベントのみならず、民族音楽やヨーデルなどのイベントが多数開催されており、そこでも民族衣装をまとった人たちを見ることができます。

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伝統衣装の作りの魅力を伝える

 今日のスイスでは、アウスビルドゥング(Ausbildung)と呼ばれる職業教育制度がありますが、このうち農業夫人の職業教育ではトラハトを作る科目があるようです。また、農業夫人のみに限らず、州多くの若者たちに伝統衣装の作りの魅力を伝えています。

 多様な文化が混ざり合う国スイスとって、国の価値を守ることはとても重要なことでもありますが、スイスの伝統を形としてとらえるのではなく、その彼らの「精神」を継承することではないでしょうか。

スイス情報.comのイベントカレンダーでも様々なイベントをご紹介しています。どうぞご活用ください。

<お問い合わせ>
Schweizerische Trachtenvereinigung
www.trachtenvereinigung.ch

撮影 : Yuko Kamata

 


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