ー『集団行動』をする学生たちを指導している、日本体育大学名誉教授の清原 伸彦先生が、観客が釘付けになった『集団行動』の一糸乱れぬ動きや指導方法について聞かせてくださいました。今月のコラムでは、清原先生の熱い思いとエネルギーをお届けします。
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| 初演前日にスタッフが拝見した『集団行動』への拍手喝采について
住む環境や言葉が違っても、人間という生き物の心は同じだな、と思いました。物事や心を理解した時の感動は大きいと思います。同じ行動を一糸乱れずスピーディーにするという見たこともない集団のチームワークにまず驚いて、それが感動に変わっちゃうんだと思います。
| 主催者側からのリクエストは?
「とにかく『集団行動』をしてほしい」でした。普段は号令で約80人が11~12分の行進をするのですが、「音楽祭だから」と言われたので音を入れ、 「人数を場所の状況で51人に、時間は6分にして下さい」との依頼で、スイス用に作り直しました。初めての試みでしたね。
| この音楽祭での『集団行動』で見(魅)せたかったところは?
「色々な歩き方」と「ドラマ」です。基本は1分間に162歩で行進するところを中盤は130歩にしたり、小走りなどをドラマとして入れました。いつも「歩き方がわかったら、あとはドラマで歩け、心で歩け、気持ちを込めて歩け」と指導しています。でも、気持ちは日本でもスイスでも全く同じで、スイスにアピールしようとして作ったものじゃないんですよ。
| この音楽祭に向けての練習時間は?
いつもと同じ週3日、月水金の各2時間です。でも、スイスに来る直前に一度合宿を行いました。それまでメンバーを決めなかったんですよ、そうすると行きたくてしょうがなくて一生懸命に練習しますから(笑)
| この音楽祭で感じた指導の成果は?
ありましたね。ここに来て2~3日目に「フィナーレでタイマツを持ってくれ」と急に言われたんです。それも「両側から登場して、中央に来て、H型に」と。でも、20分くらいでやりました。学生は言われたことをちゃんとやる感性を持っています。どんなに難しいことを言われても、ちょっと時間をもらえればすぐにやりぬく能力を持っています。鍛えます。
| 日体大の学生について
最初は子供たちは「なんだこのヒゲのオヤジは」って思っただろうけど(笑) うちの大学では決してエリートじゃないですよ、でも僕から見れば、どの学生もエネルギーがあり、学ぶことに素直で優秀です。場を与えれば力を出します。能力ありですね。僕の財産は人ですよ、教え子です。
Basel Tatto 2016 |