スイスと日本を繋ぐ鋸山のロープウェー

 スイスは、地理的には日本から遠く離れた国ですが、意外なところでスイス製品を見かけたり、文化や生活に触れたりすることがあります。 おなじみのチーズやチョコレート、時計、アルプスの少女ハイジ…だけではない、「日本で見つけたスイス」を紹介します。

日本で見つけたスイスは、千葉県富津市鋸山にありました

 東京都心から電車で約2時間、房総半島中西部にある千葉県富津市の鋸山は、標高330mとそれほど高い山ではありません。しかし、山頂から東京湾や三浦半島、天気がよければ富士山まで見渡せ、夕陽の美しさも格別とあって、1年を通して幅広い世代の人たちが訪れる人気のスポットです。

山頂から対岸
山頂から見える対岸

その観光客を麓から山頂近くまで運ぶ鋸山ロープウェーには、世界的に知られるスイスの「CWA社」のゴンドラが使われているのをご存知でしたでしょうか

 日本と同じ山国のスイスでは、人々は季節を問わずハイキングや登山を楽しみます。昔からアルプスの山々や美しい湖など自然を生かした観光にも力を入れ、登山鉄道やロープウェーなどの乗り物の開発で世界をリードしてきました。

(c) CWA Constructions SA/Corp.
(C) CWA Constructions SA/Corp

 CWA社は、スイスを代表する搬器メーカーで1939年に創業しました。56年に世界初のケーブルカーをつくり、その後も自動ドア付きやキャビン型のケーブルカー、床が回転して景色が 360度楽しめるキャビンなど、時代を先取りする製品を次々と生み出してきました。

 90年には、当時世界一の大きさといわれた166人乗りのロープウェーを製造。新潟県湯沢高原スキー場と長野県北志賀の竜王スキーパークに導入され、日本 でも話題を呼びました。さらに2001年に、同じく世界的に知られている搬器メーカー、オーストリア・ドッペルマイヤー/ガラベンタグループ (Doppelmayr/Garaventa Group)の一員となり、事業の幅を広げています。

千葉県で唯一の鋸山ロープウェー、新デザインで生まれ変わる

 鋸山ロープウェーがCWA社のゴンドラの運行を始めたのは2012年。開業50周年に合わせ、3代目となるゴンドラを同社の2両に一新しました。

2号ちどり
ゴンドラ2号「ちどり」

 その理由について、鋸山ロープウェー株式会社駅務係の錦織淳志さんは「ロープウェーの利用者は年間約40万人に上るので、安全性を最優先しました。その結果、世界各国に納入実績があり、安全性、信頼性でも世界一と評価されるCWA社のゴンドラに決めました。もちろん洗練されたデザインや、耐腐食性に優れたアルミニウム合金を本体に使っている点なども考慮しました」と話します。

ゴンドラ1号
ゴンドラ1号「かもめ」

 スイスで製作を始めて日本に届くまで10カ月を要した新型のゴンドラは、定員41人。千葉県花・菜の花をイメージした黄色の車両が「かもめ」、夕陽をイメー ジした赤色が「ちどり」と、ずっと親しまれてきた名前を引き継ぎました。全面ガラス式で景色がよく見え、カラフルな車体も鋸山の緑と青い空や海に映える と、乗客らに好評だといいます。

 山頂駅展望台からの美しい景色を堪能出来るほかにも、鋸山南斜面にある日本寺境内には、日本最大の石大仏や地獄のぞき等、多くの名所が散在しているとのこと。お近くにお越しの際には、この千葉県唯一のロープウェーをご利用になってみてください。

 地元スイスでも、CWA社の乗り物は人気

 スイスの古都ルツェルンに近い中央アルプスでは、1992年にティトリス山(Engelberg,Titlis)に世界初となる回転式キャビン「ロッテール(ROTAIR)」が、また2012年にはシュタンザーホルン(Stanserhorn)にやはり世界初のオープンデッキ付き2階建てロープ ウェー「カブリオ (CabriO )」が導入されました。

 さらに15年春、今度はピラティス山(Pilatus)のロープウェーに最新鋭のキャビン「乗竜 (Dragon Ride)」が登場。大型窓からアルプスの眺望が楽しめ、世界一急勾配の登山鉄道とともに、世界中から訪れる観光客の人気を集めています。

swissjoho-2
Dragon Ride, Pilatus

 CWA社のゴンドラは、スイスを中心に、ヨーロッパやアメリカなど、世界各国に向けて製品の輸出を行っています。日本では、千葉県・鋸山以外にも青森県・八甲田山や山梨県・昇仙峡、三重県・御在所岳、滋賀県・琵琶湖バレイなど、日本各地のロープウェーで活躍しています。

 今度ロープウェーに乗るときは、どこの国の車両か、ぜひ確認してみてください。以外にそれがスイス製であれば、スイスが少し身近に感じられるかもしれません。

 

<取材及び掲載協力・お問い合わせ>
鋸山ロープウェー株式会社
千葉県富津市金谷4052−1
Tel : 0439-69-2314
http://mt-nokogiri.co.jp/
http://twitter.com/mt_nokogiri

<画像協力・お問い合わせ>
CWA Constructions SA/Corp.
Bornfeldstrasse 6
CH-4601 Olten
Email: info@cwa.ch
Tel : +041 (0)62 205 60 00
http://www.cwa.ch/en/home.html

取材:Yuko Kamata
編集:Ikuyo Hasegawa,Yuko Kamata

 


「スイスと日本を繋ぐ鋸山のロープウェー」への1件のフィードバック

  1. 東京でたまたま電車に乗っている際にこちらのロープウェーの広告を見かけました。
    スイス製と聞くと、丈夫そうなイメージが沸いたことを覚えています。
    鋸山からの眺め、美しいですね。富士山が見れる事を期待しつつ、いつか乗ってみたいと思います。

コメントを投稿する